楽譜について

     音の長さ、高低、リズム、強弱などを一定の法則による記号(記譜法)で表したものです。全く同じ楽曲でも出版社ごとに多種多様な楽譜が出版されている場合もあります。
     楽譜の“版”には「エディション」と「バージョン」の2つの考え方があります。クラシック音楽では、目的別に校訂版と原典版という2種類の楽譜が存在します。バロックから古典派の時代の作品では、版の選択が重要になってきます。

         

    校訂版

     演奏に必要な記号や強弱、指使いなどを書き加えたり、作曲当時の記譜法で書かれた楽譜を現在の記譜法に書き直したり、作曲当時の楽器のための楽譜を現在の楽器に合わせたりした楽譜です。
     17〜18世紀の作曲家たちの作品は、作曲家自身によって演奏されることが多く、自筆の原稿には演奏に必要な記号や強弱がほとんど書き込まれていません。また例えばチェンバロやオルガンなどまだピアノが存在しない時代の楽器のために書かれた作品をピアノ用に編曲する場合もあります。
     校訂者や出版社により、表現記号や指使い、フレージング(メロディーの区切り方)等が異なる複数の種類があります。

       

    原典版

     作曲家の意図をそのまま伝える楽譜です。古い時代の作曲家の自筆譜や初版の楽譜を元に、現代の研究者や演奏家が研究を行い、できる限り後世の演奏家や研究者による付け足しを取り除いて、本来の作曲者の意図に近づけています。
     しかし自筆譜ですら作曲家自身による間違いがあり、必ずしも自筆譜が作曲家の真意を表現しているとは限りません。しかし現在となっては、作曲者に間違いを問いただすことは不可能です。そこで、複数の資料を研究し作曲者の意図を「探って」作られています。
     校訂版と同じように、研究者や演奏家ごとの研究の違いから、原典版にも複数の種類があります。
     作曲者の意図に準じるため、表現記号や指使いなどはほとんど書き込まれていません。そのため、初心者が用いるには適さない場合がほとんどです。しかし、演奏技術があれば自分独自の表現をすることもできます。
       
       

    エディション

     前述した原典版と校訂版、あるいは複数の原典版や校訂版,出版社や編集者の違いから生じるバリエーションを言います。

            

    バージョン

     音域やキー、言語、演奏手段(編成)の違い等や楽譜の使用目的の違いから生じるバリエーションを言います。